コラム

療育とは?仕事内容や働く施設を詳しく解説!

療育とは

障害のある子どもやその可能性がある子どもに対して、一人ひとりの障害特性や発達状況に合わせ、本人の困りごとの解決や将来の自立、社会参加などを目指して行う支援・サポートを指します。

療育とは、元々は肢体不自由児の自立に向け、「治療」と「教育」をかけあわせた造語でした。

現在は、身体障害だけではなく発達障害や知的障害など、発達に遅れや心配がある子ども全般が対象となっています。

療育の対象

原則18歳未満の子が対象となります。

障害種別としては、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)のいずれかに該当する場合が対象となります。

公費で受けられる発達支援などの公的な療育、主治医の判断で治療の一環として医療行為も含めて行う療育、私費で受ける療育などがあります。

公費で療育を受ける場合は、自治体から発行される「受給者証」の申請・取得が必要です。

児童発達支援事業とは

児童福祉法に基づくサービスの一つです。

早期に必要な指導支援を受け、将来的な本人の負担を軽減するために、障害名の有無に関わらず、発達の遅れが気になるお子さまの利用も幅広くおこなわれています。

自治体の定める日数と自己負担額の範囲で利用可能です。

サービスの利用に必要なこと

通所受給者証は「障害児通所支援」という福祉サービスを利用するために、お住まいの市区町村から交付される証明書です。

障害児通所支援(児童発達支援事業/放課後等デイサービス事業)をご利用になる場合は、この通所受給者証の取得が必要となります。

住んでいる市区町村で手続きができます。

早期支援の大切さ

就学前の時期は、身辺自立や社会性、コミュニケーションなどを学ぶ大切な時期です。

特に発達の遅れや偏りが見られるお子さまの場合、早期から個々の発達や特性に合わせた支援をおこなう必要性があると言われています。

個々に合わせた支援を早期からおこなうことにより、適切な行動やスキルの習得を促すことができます。

乳幼児の経験は脳の発達に大きく影響していると言われており、早期支援は年齢が低ければ低いほど効果的と言われています。

年齢が上がるほど、新しいスキルの習得が難しくなります。

放課後等デイサービスとは

放課後等デイサービスとは、児童福祉法に基づく福祉サービスの一つで、障害がある小学生・中学生・高校生(6歳~18歳)のお子さまが利用できる通所支援サービスです。

主に、放課後や休日、夏休み・冬休みなどの長期休暇に利用できます。

また、障害のあるお子さまだけでなく、発達に特性のあるお子さまの利用も幅広くおこなわれています。

サービスの利用に必要なこと

通所受給者証は「障害児通所支援」という福祉サービスを利用するために、お住まいの市区町村から交付される証明書です。

障害児通所支援(児童発達支援事業/放課後等デイサービス事業)をご利用になる場合は、この通所受給者証の取得が必要になります。

お住まいの市区町村で手続きができます。

放課後等デイサービスの役割と目的

《お子さまの最善の利益の保証》

児童福祉法第6条に基づき、障害のある就学児に対して、日常生活で必要な自立につながる訓練や社会との交流、そのほか学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々のお子さまの状況に応じた発達支援をおこなうことにより、お子さまの最善の利益の保障と健全な育成を図っています。

《共生社会の実現に向けた後方支援》

お子さまが地域社会へ参加できるよう、他のお子さまも含めた集団の中での生活を保障する視点が求められています。

また、放課後児童クラブや児童館等の一般的な子育て支援施策を、「後方支援」として位置づけ、必要に応じて連携を図りながら、適切な事業運営をおこなうことも求められています。

手帳の有無に関わらず、児童相談所や市区町村の相談窓口、医師の診断を経て療育の必要性が認められれば、サービスを利用することができます。

必ずしも障害の診断があるとは限りません。

※自治体によっては「受給者証」の申請を行うために、医師の診断書が必須の場合もあります。

療育の現場で働くには?

療育には、医師、心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、児童指導員、保育士など、様々な専門職が関わります。

医師は診断や医学的管理を担当し、心理士は発達検査や心理面での支援を行います。

言語聴覚士は言語・コミュニケーションの評価と訓練を、作業療法士は感覚統合や日常生活動作の改善を、理学療法士は運動機能の向上を目指します。

児童指導員や保育士は、日々の療育活動の実施や子どもの育ちを支える役割を担います。

多職種がチームを組み、専門性を生かしながら連携することで、子どもと家族に対する総合的な支援が可能になります。

療育をおこなう施設

療育を行う施設として大きく分けて「通所支援型」と「入所支援型」の2種類があります。

通所支援型は、児童発達支援センターや児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなどがあります。

子どもが施設に通いながら、日帰りで療育を受けます。

入所支援型は、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設に分かれ、施設に入所して、日常的な療育と生活支援を受けることができます。

障害児通所支援

児童発達支援

支援内容・・・生活に必要な動作の指導、集団生活での適応支援

放課後等デイサービス

支援内容・・・放課後や夏休みなどを利用し、日常生活の向上に向けた訓練、集団生活での適応支援

保育所等訪問支援

支援内容・・・施設を訪問し、児童への直接指導、施設スタッフへの技術的な指導

障害児入所支援

福祉型障害児入所施設

支援内容・・・生活に必要な動作の指導、身体能力向上の訓練や保護など福祉的支援

医療型障害児入所施設

支援内容・・・福祉型障害児入所施設の機能に加え、医療を提供する施設です。治療や看護、医学的な管理のもとでの食事や排せつ、入浴などがおこなわれます。

療育に携わる職種と業務内容

保育士

一人ひとりの発達状態を考慮し、その子の個性にあった療育を提供するのが保育士の仕事です。

発達状況や特性に合わせて、日常生活の基本動作を指導したり、集団生活に適応するための機能訓練を行ったりします。

〇児童指導員

個別支援計画に基づき、子どもと直接かかわりながら自立のための支援をします。

子どもの日常生活を支援をするため、子どもにとってはとても身近な存在となります。

また、子どもの育て方・接し方のフォローやアドバイスなど保護者支援の役割もにないます。

〇児童発達管理責任者

福祉サービスを利用する際に子どもの発達や状況に合わせた個別支援計画書を作成し、

保護者の相談に乗ったり施設の指導員や関係機関などと連携を取りながら支援を行います。

〇看護師

医療上必要なケアや、日常の健康管理、精神面・衛生面の管理などをおこないます。

主に医療型児童発達支援センターや重症心身障害児を支援する施設に配置されます。

〇言語聴覚士

言語や発声・発音、聴覚、認知などの機能に何らかの課題があることでおこるコミュニケーション障害と、

食べたり飲み込んだりすることに困難がある摂食・嚥下(えんげ)障害に対してリハビリテーションなどの支援を行います。

〇作業療法士

食事や遊びの支援を通じて体を動かすという基本的な動作から、日常生活に向けた動作能力につなげることが主な仕事内容です。

〇理学療法士

立つ・座る、姿勢を保つなどの運動発達を促したり、おもちゃのような器具で遊びながらリハビリをおこないます。

個人の特性に応じて作成したプログラムをもとに支援を進めていきます。

〇公認心理師・臨床心理士(心理指導担当職員)

心理学の知識をもとに機能訓練や指導をおこないます。

児童発達支援や放課後等デイサービスでの配置義務はありません。た

だし、重症障害児を受け入れる場合に設置する必要があります。

療育で期待できること

療育は、障害のある子どもやその可能性がある子どもに対して、

それぞれの発達特性や困りごと、状況に応じて個別の支援計画を作成し、様子を観察しながら支援を進めていきます。

例えば、体を動かすことは好きだけれど動きがぎこちない子には、子どもが「楽しい」と感じるような遊びや運動を通して、

感覚機能の未熟さや苦手な部分を伸ばし自己肯定感が高まったりという効果が期待できます。

しかし、すぐに目に見える変化が療育の効果として得られるわけではありません。

お子さんによっては、家族が期待するような効果が感じられないというケースも多くあります。

個別支援計画は、もちろん家族からのニーズも取り入れられますが、まず第一に子どもの様子を把握し、どのような支援・アプローチがその子どもに合っているかが検討されます。

「落ち着いて行動してほしい」「自分の感情をコントロールしてパニックや癇癪(かんしゃく)を起こさないようにしてほしい」という家族からのニーズがあっても、

子どもの発達がまだそれらより前段階である場合は、療育のプログラムとして取り入れることは難しい場合もあります。

療育とは時間をかけて、何度も失敗を繰り返しながら、徐々に効果が感じられるものであるため、

半年・1年、時にはそれ以上の長い目で見て子どもの変化と向き合うことが求められます。