正式には、「療育保育士」という職業や資格はありません。
しかし近年は、療育施設で働いている保育士や、療育分野で活躍する保育士は「療育保育士」と呼ばれているようです。
ちなみに、児童発達支援施設や放課後等デイサービスで働く指導員は 「児童指導員」や「療育指導員」と呼ばれていますが、「保育士」という資格とはまた別の意味合いになります。
厚生労働省の調査によると、障がい児サービスの利用児童数は年々増加傾向にあります。
平成26年は約8.8万人だったのが、令和元年には約22.6万人となり、5年間で約2.3倍も増加していることが分かります。
そのため、保育と療育どちらの専門知識をもっている「療育保育士」は、今後も需要が高まることが予想されるでしょう。
実際に、保育士を募集している療育施設は多くあります。
参考サイト:厚生労働省「障害児通所支援について」
保育士として働くためには、国家資格である「保育士」の資格が必要となり、資格がなければ保育士として働くことはできません。
保育士の資格を取得する方法は、大きく分けて2通りです。
保育士になる方法2通り
このうち、中学や高校から保育士を目指している人の多くが、大学・短大・専門学校のルートを選んで進学しています。
保育士養成課程のある学校には、2年制の短大や専門学校(一部は3年制)、4年制の大学などがあります。
これらのどのような学校でも保育士資格取得が目指せることは共通しています。
在学期間をはじめ、カリキュラム・学費・就職サポート体制などに違いがあるため、学校選びの際には、さまざまな学校を比較して慎重に行ったほうがよいでしょう。
保育士になるための養成課程のある学校は、4年制大学・短大・専門学校の3種類があります。
それぞれのメリット・デメリットと学費の目安は以下の通りです。
【保育士になるための学校の種類と比較】
メリット | デメリット | 学費の目安 | |
4年制大学 | 大卒資格を得られる | 学費が高額 | 400万円(4年) |
短期大学 | 学校数・定員が多い | 2年間なので忙しい | 250万円(2年) |
専門学校 | 実践的な知識を習得できる | 大卒・短大卒より昇進が遅い | 200万円(2年) |
専門学校は3年制のところもありますが、多くが短大と同じく2年制となっています。
なお、学校によっては「幼稚園教諭」など、他に子どもと関わる資格の同時取得が目指せるカリキュラムを置いているところもあります。
4年制大学では、4年間かけてじっくりと保育の知識・技術を身につけていくことができます。
また、保育以外の一般教養を幅広く学べることも特徴で、卒業すれば大卒の学歴を持つことができます。
就職先によっては、初任給は学歴によって差がつけられ、大卒者のほうが多少よい給料をもらえることがあります。
短大・専門学校
専門学校は、2年間(あるいは3年間)で保育の知識・技術を詰め込んでいくため、4年制大学よりも忙しい学校生活になるでしょう。
保育に特化した勉強が中心で、いち早く保育の現場に出たい人には適しているといえるでしょう。
また、4年制大学より学費を安く抑えることができます。
短大は、4年制大学と専門学校の中間的な立ち位置で学べる学校や、地域密着型の学校が多くなっているようです。
療育保育士は、「障がいのある子どもに対して、日常生活・社会生活に必要な能力を身につけるためのサポートをおこなう」ことが主な仕事です。
具体的な療養保育士の仕事内容は以下のとおりです。
障がいと一言でいっても、障がいの特性は子どもによってさまざまなので、子ども一人ひとりの発達に合った支援をおこなう必要があります。
そのため、療育保育士は子ども一人ひとりの「個別支援計画」を作成して、子どもたちと丁寧に関わっていきます。
とくに大切なのは、子どもたちが成功体験を得られるように、遊びや活動の中で工夫することです。
子どもにとって小さな成功体験を重ねていくことは、自信や大きな成長につながります。
療育では、この「小さな成功体験を積み重ねる経験」がとても大切になるので、療育保育士はその視点をもって計画を立てて、子どもたちと密に関わっていきます。
また、保護者支援も療育保育士の大切な役割です。
子どもの療育は、施設の中だけでおこなうのではなく、家庭との連携が必要不可欠なので、保護者とこまめにコミュニケーションをとりながら、子どもの成長を一緒に見守っていきます。
療育施設に子どもを通わせている保護者の多くは、育児に対する不安や悩みを抱えている場合が多いでしょう。そのような保護者に丁寧に寄り添って、一緒に解決できるようにサポートするのが療育保育士の大切な役割といえます。
参考サイト:厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」
療育保育士には、多岐にわたる能力が求められます。
まず、子どもたちの安全を確保することが最も重要な役割です。
そのためには、冷静で正確な判断力が必要です。
また、子どもたちが健康に育つためには、食事や睡眠の管理も大切です。保育士は、栄養バランスの取れた食事を提供すること(保育園)や、規則正しい生活リズムを整えることが求められます。
また、子どもたちの心の成長も支援しなければなりません。
保育士は、感性豊かに子どもたちと関わり、気持ちを汲み取る力が必要です。
コミュニケーション能力や、子どもたちの表情やしぐさを読み取る洞察力も求められます。
さらに、チームワークを大切にし、協調性や調整力も必要です。
保護者や関係機関との連携も必須であるため、臨機応変かつ正確な情報伝達能力も必要不可欠です。
保育士には、多彩な能力が求められるため、常に学び続け、スキルアップすることが重要です。
児童発達支援において重要なスキルの一つに、コミュニケーション能力が挙げられます。
子どもと適切にコミュニケーションを取ることは、その子の発達に大きな影響を与えます。
また、家族とのコミュニケーションも重要であり、共に協力して子どもの発達を促進するためには、適切なコミュニケーションが不可欠です。
コミュニケーション能力を向上させるためには、まずは相手の立場に立って話を聞くことが大切です。
子どもたちは自分自身の気持ちや考えをうまく表現することができない場合があります。そんなときは、子どもの言葉や表情に注目し、そこから何を伝えたいのかを理解する努力が必要です。
また、表現力が豊かで明確な言葉を使うことも、コミュニケーション能力を向上させるために必要な要素です。
適切な言葉を使い、相手が理解しやすいように説明することで、コミュニケーションの円滑化が図られます。
以上のように、コミュニケーション能力の向上は、児童発達支援において大変重要な要素です。
子どもたちだけでなく、関係者全員と適切なコミュニケーションを取ることで、より良い支援が行われることになります。
子どもの発達に関する知識は、児童発達支援の重要な要素の一つです。
子どもの発達には、心理的、生物学的、社会的因子が関わっており、それらを理解し、適切な支援を行うことが求められます。
例えば、0~3歳児の場合、言葉の発達や認知能力の育成が重要です。
また、学齢期の子どもたちは、学校生活において評価基準に悩むことがあり、そのような場合には、保護者や教師の支援が必要になります。
一方、思春期の子どもたちは、自己肯定感を高めるために、親や先生が相談に応じることが必要です。
以上のように、子どもの発達には年齢や個性によって異なる問題がありますが、それらに立ち向かうためには、児童発達支援における専門家が必要とされます。
彼らは、子どもの発達段階を理解し、適切な支援を行うことで、子どもたちが健やかに育つための基盤を整えることができるのです。
あるお子様に対して役割を果たしています。そのため、支援者はその役割を理解し、臨機応変な判断力を発揮することで、子どもたちの健やかな成長をサポートしていく必要があります。
児童発達支援の現場では、協調性とチームワークの能力が不可欠です。
より良い発達支援を提供するためには、複数の職種が協力し、連携を取って子どもたちに対して適切な支援を行う必要があります。
まず、協調性とは、周りの人たちと協力して目標を達成するために、自分の意見や考えを調整したり、全体で決めて支援実行することができる能力のことです。
児童発達支援の現場では、保護者や医療機関、学校、福祉関係者など、様々な人たちと協力して支援を行う必要があります。
そして、それぞれのスキルや専門知識を活かし、発達の心配がある子どもたちの成長に向けて連携を取ることが求められます。
また、チームワークの能力とは、自分自身が属するチームの目標に協力して向かい、一人一人の役割を果たしながら共同作業を行う能力のことです。
児童発達支援の現場では、複数の職種が協力して支援を行います。そのため、各職種が協力し、一人一人が役割を果たし、チーム全体で効果的な支援を提供することが大切です。
以上のように、児童発達支援の現場において、協調性とチームワークの能力は必要不可欠なスキルです。
目標に向かって連携を取り、各々が役割を果たし、協力して支援を行うことが、より良い発達支援を提供するためには欠かせません。